
積雪・塩害エリアのライン耐久対策|塗料選びとメンテ頻度
除雪ブレードによる機械的摩耗、凍結防止剤・海風に含まれる塩分、低温・多湿での硬化不良。
過酷環境でラインを長持ちさせるための塗料選定・下地処理・膜厚設計・施工時期と、メンテ周期の目安をまとめました。
最終更新:
WHY積雪・塩害エリアで劣化が早い理由
除雪ブレードの擦過
金属ブレードやゴムエッジでも突起部・角部から削れます。段差・盛上げ部は特に損耗が早い。
凍結防止剤・潮風
塩化物が結露と再結晶を繰り返し、塗膜の微細クラックを進行させます。コンクリート母材の中性化も促進。
低温・多湿での硬化不良
可使時間の短縮・硬化遅延で初期強度不足が起き、初年度の摩耗が増えがち。
SELECT塗料の選び方(耐摩耗・耐塩・低温硬化)
| 系統 | 特長 | 向き/注意 |
|---|---|---|
| MMA(メタクリル)二液 | 低温でも硬化・高耐摩耗・発色良好。厚付け可。 | 臭気に配慮。可使時間短いので段取り必須。 |
| 熱可塑(溶融)型 | 膜厚が取りやすく、除雪に強い。ガラスビーズ併用可。 | 加熱設備が必要。屋内・立体は熱や臭気条件に注意。 |
| 溶剤エポキシ/ポリウレタン | 密着・耐薬品・耐塩に良好。トップコートに最適。 | 低温で硬化遅延。露点管理と希釈に注意。 |
| 水性アクリル | 扱いやすい・低臭。 | 低温・塩分大量環境では摩耗が早い。部分補修向け。 |
屋外・積雪地の主力はMMA厚膜または溶融型。屋内や金属床はエポキシ+PUトップの多層で検討。
SPEC長持ち仕様:膜厚・骨材・反射材
- 膜厚:標準より+30〜50%(例:0.6→0.8〜1.0mm)。角はテーパーで段差を減らす。
- 骨材(ノンスリップ):#20〜40の硬質骨材を散布または混入し、除雪時の面で受ける設計に。
- 反射材:視認性確保にガラスビーズ。摩耗域は再散布前提の計画。
- 色:白・黄は耐候顔料を使用。青系は退色対策で上位グレード推奨。
- エッジ保護:車止め前や通路交差部はカラー帯+白線二重化で摩耗分散。
除雪車への事前周知(ブレードを浮かせる/ゴムエッジへ変更)は物理的損耗を大きく低減します。
PROCESS下地処理と施工時期(気温・湿度の基準)
下地処理
- 高圧洗浄→塩分洗い流し→十分乾燥(含水率に注意)
- 油分はアルカリ洗浄+研磨で機械的粗面を作る
- 脆弱部はショット/グラインドで撤去→プライマー
施工環境の目安
- 気温:5℃以上(MMAは0℃近傍でも可だが配合を調整)
- 湿度:85%以下、露点+3℃以上を厳守
- 雨・雪・結露は中止。朝露は日照で乾燥後に着手
積雪地は春〜秋の施工が基本。冬季は小規模補修+応急でつなぎ、繁忙期に本施工を計画。
CYCLEメンテナンス頻度の目安と費用感
| 環境区分 | 想定条件 | 目安メンテ周期 | 代表仕様 | 概算費用(税別) |
|---|---|---|---|---|
| 標準 | 非積雪・非塩害 | 3〜5年 | 水性/溶剤アクリル・標準膜厚 | ライン再生 ¥50,000〜/10台 |
| 塩害 | 海沿い・凍結剤軽微 | 2〜4年 | PUトップ併用・耐塩顔料 | +10〜20% |
| 積雪 | 除雪あり・凍結剤あり | 1.5〜3年 | MMA厚膜 or 溶融型+骨材 | +20〜35% |
| 積雪+塩害 | 内陸豪雪/海沿い豪雪 | 1〜2年 | 高耐久グレード+エッジ強化 | +30〜50% |
費用は規模・下地状態・夜間/冬期施工の可否で変動します。正式見積は図面・写真で算出します。
OPS運用でできる寿命延長(除雪・塩分対策)
- ブレードはゴムエッジ推奨。金属の場合は5〜10mm浮かせ運用を徹底。
- 凍結剤散布後は可能な範囲で洗い流し・掃き出しを実施。
- 海沿いは月1回の清掃で塩分堆積を低減。
- 摩耗が早い交差部は色帯+白線二重で補修単位を小さく。
- 年次点検:退色・剥離・段差の劣化マップ化で計画補修。
よくある質問
冬でも施工できますか?
小規模補修はMMAで対応可能ですが、降雪・結露時は不可。本施工は春〜秋を基本に計画します。
除雪で削れにくい仕様は?
膜厚を増やし、角をテーパー、骨材で面を作る仕様が有効。運用面ではブレード浮かせと速度抑制が効果的です。
海沿いで色あせが早いのはなぜ?
強い日射と塩分の組み合わせで顔料が劣化しやすいため。上位グレードの顔料+トップコートで改善します。
積雪・海沿い向けの長寿命仕様をご提案
立地・下地状態・運用(除雪/凍結剤)に合わせて最適な仕様と概算費用をお出しします。
立地・下地状態・運用(除雪/凍結剤)に合わせて最適な仕様と概算費用をお出しします。


