アスファルト/コンクリート別:ライン引きの最適塗料と耐久年数

路面材と環境条件で“持ち”は大きく変わります。アスファルト・コンクリート別に、塗料の向き不向き、耐久年数の目安、下地処理とプライマー選定、冬季や屋内での注意点を実務目線で整理しました。

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路面材の違い(アスファルト/コンクリート)

AS

アスファルト(舗装)

表面が多孔質で塗料が食い込みやすく、一般に密着良好。ただし新設直後(〜2週間)はオイルブリードで密着低下する場合があり、養生期間の確保が重要です。

CON

コンクリート

緻密でアルカリ性。プライマー必須の場面が多く、油汚れ・レジン残渣は密着不良の原因。ケレン・脱脂など下地処理の良否が耐久を左右します。

INDOOR

屋内床・立駐

臭気・換気制約あり。低臭・速乾が選択肢に。金属床や防塵塗装上は製品適合を確認し、専用プライマーを使用します。

主要塗料の種類と特性

種類特徴向いているケース注意点
水性アクリル 低臭・乾燥早め・コスト良好 屋内/半屋内・学校・病院・近隣配慮が必要な商業施設 低温高湿に弱い。冬季は硬化遅延に注意
溶剤アクリル 密着と発色のバランスが良い 屋外全般・アスファルトでの既存再塗装 臭気配慮が必要。換気・近隣周知を
MMA樹脂(常温硬化) 高耐久・耐摩耗・速硬化 物流・出入口など摩耗が激しい場所、夜間短時間開放 材料費は高め。気温で促進剤量を調整
熱可塑(溶融式) 非常に高耐久・厚膜・視認性高い 幹線道路や屋外広面積の長期目視性重視 機材・施工手配が大掛かり、臭気/火気管理
エポキシ/ウレタン系 耐薬品性・耐久性に優れる 屋内工場床・立駐、オイルや薬剤が出る環境 素地適合とプライマー選定が重要

同じ製品でもメーカー仕様で適用条件が異なります。TDS(技術資料)と現場条件の突合が前提です。

耐久年数の目安表

塗料種別アスファルトコンクリート備考
水性アクリル 2〜3年 1.5〜3年 屋外直射・高頻度走行で短縮。屋内は延びる
溶剤アクリル 3〜4年 2〜4年 下地清掃とプライマーで差が出る
MMA樹脂 5〜8年 5〜7年 厚膜・骨材併用で耐摩耗UP
熱可塑(溶融式) 5〜8年 主に道路向け。駐車場でも採用例あり
エポキシ/ウレタン 4〜7年 屋内床用途。下地含水率と温湿度管理が鍵

上記は目安です。交通量(回転率)、タイヤの据え切り、日射・融雪剤、清掃頻度などで前後します。

下地処理・プライマー選定

1

清掃・洗浄

砂塵・苔・油分・既存塗膜の浮きは除去。高圧洗浄または機械清掃し、完全乾燥を待ちます。

2

素地調整

段差・剥離部はケレンやパテで平滑化。コンクリのレイタンス除去で付着向上。

3

プライマー

ASは不要な場面もありますが、CONは原則プライマー必須。吸い込みが大きい部位は二度塗り。

  • 油汚れ部:アルカリ脱脂→水洗→乾燥→プライマーの順。
  • 既存線の上塗り:密着確認の試験塗り(クロスカット)を推奨。
  • 金属床・防塵塗装上:メーカー適合のエポキシ系プライマーを選定。

季節・環境条件と品質対策

条件リスク対策
低温(5〜10℃) 硬化遅延・タック残り 速乾タイプ/硬化促進剤、夜間→日中へ工程変更
高湿・結露 白化・密着不良 露点管理・送風乾燥・翌日へ順延
強日射・高温 刷毛目・ローラー跡・気泡 朝夕作業・粘度調整・日陰養生
屋内・地下 臭気・換気不足 低臭塗料選定・送排気計画・作業時間の分割
露点管理 速乾配合 低臭材料 試験塗り

よくある質問

新設アスファルトにいつ塗れますか?

一般に2週間程度の養生が目安です。油浮きが強い場合はさらに延長し、試験塗りで密着を確認します。

古いコンクリ床で剥がれが多いのですが?

粉化・レイタンス・油分が原因のことが多いです。ケレン+高圧洗浄+脱脂+専用プライマーでの再塗装をご提案します。

どの塗料が一番長持ちしますか?

MMAや溶融式が長持ちですが、コストと機材条件があります。交通量や臭気制約など現場条件に合う最適解を選ぶのが重要です。

概算見積り・お問い合わせ

路面写真(全景・近景)と面積・台数・環境条件(屋内/屋外・臭気制約など)をお送りいただければ、最短当日に概算をご案内します。