
すべり止め・ノンスリップ仕様は必要?歩行者動線の安全基準と実装法
雨天・段差・勾配・屋内床の滑りは事故につながります。
本記事では滑り抵抗の目安・採用判断の基準・工法別の特徴、そして導入手順・費用感を実務目線でまとめました。
最終更新:
どんな場所で必要になる?(判断フロー)
ケース1
屋外の横断帯・歩行者通路
雨天時や苔の発生しやすい日陰、緩い勾配がある箇所は優先的にノンスリップ化。
ケース2
屋内床(モルタル・エポ床)
油分・粉塵・ワックス残渣で滑りやすくなる。出入口やスロープ部に対策。
ケース3
高齢者・児童の利用が多い施設
病院・学校・商業施設の動線は、視認性向上と併せて摩擦係数の確保が重要。
注意:車両通行帯と歩行者帯は求める特性が異なります。歩行者帯は滑り抵抗>清掃性を優先する設計が基本です。
滑り抵抗の目安とチェック方法
| 環境 | 目安となる滑り抵抗 | 補足 |
|---|---|---|
| 屋外・濡れ面(歩行者帯) | 濡れた状態でも安全側の値を目標(例:試験で中〜高い滑り抵抗に相当) | 雨天を想定し、乾燥時だけでなく濡れ面で確認 |
| 屋内・乾燥面(エントランス等) | 乾燥時に十分な滑り抵抗+水濡れ時の低下が小さい材料 | 清掃後のワックス・油分残りに注意 |
| 傾斜通路(スロープ) | 平場より厳しめの設定 | 縞模様や粗面化で摩擦を確保 |
各種の試験方法(例:振り子式・動摩擦係数測定など)はありますが、ここでは運用実態に合わせた「濡れ面評価」を重視するのが現実的です。現地での試験・写真記録・雨天時の観察を組み合わせて判断しましょう。
工法比較:骨材散布/ビーズ入り/テープ等
| 工法 | 特徴 | 用途/向き | 耐久目安 | 留意点 |
|---|---|---|---|---|
| 骨材散布(珪砂・アルミナ)+塗装 | 塗膜上に骨材を散布→再度クリア/上塗りで固着。高い防滑性。 | 横断帯・勾配部・屋外歩行者通路 | 2〜4年 | 清掃で骨材脱落しない設計厚を。端部の剥離に注意。 |
| ビーズ/骨材入り塗料(プレミックス) | 混入済みで施工が早い。均一性が出しやすい。 | 広面積のカラー帯・屋内床 | 3〜5年 | 膜厚不足だと効果低下。攪拌と規定量を厳守。 |
| MMA・厚膜樹脂のノンスリップ | 高耐摩耗・高耐候。重交通にも強い。 | 物流動線交差部・車両の切返し部 | 5年以上 | コストは上がるが長期に有利。臭気対策と養生計画が必要。 |
| ノンスリップテープ | 即効性・部分補修向け。施工が簡便。 | 階段端部・ピンポイント | 半年〜1年 | 端部からの剥がれ・砂埃での粘着低下に注意。 |
骨材散布混入ビーズ厚膜樹脂テープ補修カラー帯
導入手順と品質確保
- 現地診断:濡れ面・勾配・油分・交通量(歩行者/車)を把握。写真記録と優先度付け。
- 仕様選定:歩行者優先ゾーンは骨材散布かビーズ入り、車両交差は厚膜樹脂で強化。
- 下地処理:高圧洗浄・油分除去。露点管理(下地温度−露点≧3℃が目安)。
- 施工:所定膜厚・散布量を厳守。端部は二度引きで剥離抑制。
- 検査:乾燥後の試歩行、濡れ面確認。写真・仕様書・天候を記録。
- 維持管理:定期清掃・年次点検。摩耗箇所はテープ/再散布で部分補修。
夜間や営業外時間の部分施工で、施設運用への影響を最小化できます。
費用の目安
| 内容 | 目安費用(税別) | 備考 |
|---|---|---|
| 骨材散布ノンスリップ(カラー帯) | ¥3,500〜¥6,500/㎡ | 骨材グレード・膜厚で変動 |
| ビーズ混入塗料(広面積) | ¥3,000〜¥5,000/㎡ | 屋内床や歩行者帯に最適 |
| 厚膜樹脂(MMA等・交差部強化) | ¥8,000〜¥15,000/㎡ | 高耐久・重交通向け |
| ノンスリップテープ(階段等) | ¥1,000〜/m | 短工期・部分補修に |
基本料金目安:〜10台で¥50,000+諸経費10%。夜間・土日祝は小計の+40%が目安です。現地状況により最適仕様をご提案します。
よくある質問
濡れるとザラザラが弱く感じます。正常でしょうか?
乾燥時より滑り抵抗が低下するのは一般的です。散布量・粒度・膜厚の見直しで改善可能です。
清掃はどうすれば?
高圧洗浄は角度と距離に注意し、骨材を飛ばさない圧で。油分は中性洗剤で早期除去してください。
車両通行もある場所で使えますか?
歩行者帯は骨材散布、車両の切返しが多い箇所は厚膜樹脂の併用が有効です。用途で仕様を分けましょう。
写真だけで概算見積もり
現地の濡れ面・勾配・素材を踏まえ、最適なノンスリップ仕様と費用を当日ご案内します。
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