
ラインのカスレ・剥がれ対策|下地処理・プライマー選定の重要ポイント
「すぐ薄くなる」「端からめくれる」――その多くは下地の未処理と不適合プライマーが原因です。
アスファルト/コンクリート別の診断→処理→プライマー選定→気象条件の合わせ方を、実務の手順でまとめました。
最終更新:
カスレ・剥がれの主因
原因1
汚れ・油分・レジン
タイヤ痕やオイル、コンクリートのレジン残渣は付着阻害の筆頭。見た目が綺麗でも要除去。
原因2
含水・露点超過
路面含水が高い/結露状態で塗ると密着不良。降雨直後や夜露は特に要注意。
原因3
旧塗膜の劣化層
白亜化(チョーキング)層の上から塗っても劣化層ごと剥がれます。物理除去が必須。
下地診断チェックリスト
| 項目 | 判定の目安 | 対応 |
|---|---|---|
| テープテスト | 強粘着テープで旧塗膜が付く→劣化層あり | 研磨/ブラストで除去 |
| 散水テスト | 水が弾く/油じみが浮く | 脱脂洗浄+再判定 |
| 含水(簡易) | 濃色化が持続/指触で湿り | 乾燥待ち or 熱風/送風 |
| 粉化(白亜化) | 手に白粉が付く | ワイヤーブラシ+集塵 |
| pH(コンクリ) | 高アルカリ/中性化進行 | 洗浄・中和・プライマー適合確認 |
テープテスト
散水・油膜確認
白亜化チェック
含水判断
下地処理メニューと使い分け
| 処理方法 | 適用 | ポイント |
|---|---|---|
| 高圧洗浄(温水可) | 砂塵・泥・軽微な汚れ | 排水経路の確保。乾燥時間を工程に織り込む。 |
| 脱脂洗浄(油分) | 給油・整備区画の油じみ | 専用洗浄剤→拭き取り→水洗い→乾燥の順で。 |
| ワイヤーブラシ/サンダー研磨 | 白亜化/軽度の段差 | 粉塵除去の集塵徹底。エッジは面取りで密着UP。 |
| ショットブラスト | 強固な旧膜・レジン残渣 | 広面積や重症例に有効。近隣への騒音配慮。 |
| プライマー(吸い込み止め) | 多孔質/粉化コンクリ | 吸水を抑え発色と密着を安定させる。 |
プライマー選定(路面×塗料)
| 路面 | 上塗り | 推奨プライマー | 備考 |
|---|---|---|---|
| アスファルト | アクリル系/速乾ライン塗料 | アスファルト用溶剤型 or 水性密着向上型 | 出たレジンは拭き上げ→プライマー→上塗り。 |
| コンクリート(屋外) | アクリル/ウレタン/MMA | エポキシ系浸透プライマー | 吸い込み止め+微細粉の固着に有効。 |
| 屋内床(Pタイル/エポ床) | 低臭水性/2液型 | 難付着面対応プライマー | 密着試験を事前実施。可塑剤移行に注意。 |
実メーカーの適合表に従い、同系統での組み合わせを基本にしてください。
気象条件と乾燥管理
- 路面温度:5〜35℃が目安。夏季は軟化対策、冬季は乾燥遅延に注意。
- 湿度・露点:露点差+3℃以上を確保。夜間の結露帯は避ける。
- 乾燥時間:上塗り重ねは規定の最短時間以降。早すぎは溶剤閉じ込めで剥離要因。
失敗事例と対策
| 症状 | 想定原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 端部からのめくれ | 粉化層の残存/角の膜厚不足 | 端部研磨+エッジ厚確保+適合プライマー |
| 全体の色ムラ | 吸い込み/含水 | 吸い込み止めプライマー/乾燥時間延長 |
| 早期摩耗 | 薄塗り/交通量想定不足 | 規定膜厚の確保/高耐摩耗塗料に切替 |
| 剥離斑点 | 油じみ点在 | 局所脱脂→試し塗り→全体塗装 |
処理費用の目安
| 内容 | 目安費用(税抜) | 補足 |
|---|---|---|
| 高圧洗浄(100㎡以内) | ¥20,000〜¥40,000 | 汚れレベルで変動 |
| 脱脂洗浄(局所) | ¥5,000〜¥15,000 | 油じみ範囲による |
| 研磨・ブラシ(100m相当) | ¥25,000〜¥60,000 | 段差補正含む場合あり |
| ショットブラスト(50〜100㎡) | ¥80,000〜¥180,000 | 騒音・時間帯配慮が必要 |
| プライマー材+塗布 | ¥300〜¥700/㎡ | 種類・塗布量で変動 |
夜間・土日祝は小計の+40%が目安。正式金額は現地確認後にご提示します。
メンテ周期と点検のコツ
- 年1回の白亜化/剥離チェック(テープテストで可)。
- 重交通路は早めの追い塗りで総コストを平準化。
- 油汚れは発生都度の局所脱脂。放置すると広域剥離へ。
よくある質問
雨上がり直後でも施工できますか?
路面乾燥と露点差の確保が条件です。含水が残ると密着不良になります。乾燥待ちや時間帯変更をご提案します。
既存の薄い白線の上から重ね塗りでOK?
白亜化層や段差は除去が必要です。テープテストで剥がれる場合は研磨・プライマー後に上塗りが安全です。
プライマーは省略できますか?
多孔質・粉化・難付着面では不可。省略すると早期剥離のリスクが高まります。適合表を必ず確認してください。
写真だけで概算見積もり
路面の状態(近景)と全景写真をお送りください。最適な下地処理とプライマーの組み合わせで再発防止をご提案します。
路面の状態(近景)と全景写真をお送りください。最適な下地処理とプライマーの組み合わせで再発防止をご提案します。


